弁護士田中宏幸のコラム
2014年05月16日 金曜日
遺産分割の方法
Q 遺産分割の方法にはどのような方法があるのですか?
A 遺産分割の方法には、次のように4通りあります。
1 現物分割
遺産そのものを分ける方法です。
2 代償分割
共同相続人のうち、1人又は数人が遺産そのものを取得し、現物を取得した相続人がその他の相続人にお金(これを「代償 金」といいます。)を支払う方法です。
この分割方法は、代償金を支払う相続人に、支払うだけの資力のあることが前提になります。
3 共有分割
遺産の全部または一部を複数の相続人が共有で取得する方法です。
この分割方法は、将来、共有者間で遺産の管理や処分方法などについて意見の食い違いが生じたときに、問題になりますので、この方法を選択する際には注意が必要です。
4 換価分割
遺産を相続人全員で売却して、その売却代金を分割する方法です。
この分割方法は、遺産を取得したい相続人がいない場合や、取得したい相続人がいてもその人に代償金の支払能力がない場合などに選択されることがあります。
以上の遺産分割の方法を組み合わせて遺産を分けることもあります。
大阪・難波の遺産・相続の法律事務所
田中宏幸法律事務所
弁護士 田 中 宏 幸
2014年05月13日 火曜日
寄与分の主張方法
Q 寄与分の主張はどのような方法で行うのですか?
A 遺産分割の調停手続において、寄与分の主張をしようとするときは、直ちに寄与分の調停申立てが必要ということではありません。
まず、調停の中で寄与分を主張して、寄与分を考慮した遺産の分割方法が合意できれば、申立てをする必要はありません。
しかし、調停において寄与分が争点となって遺産分割の合意ができないような段階に至っていれば、寄与分の申立てが必要になります。
審判手続においては、寄与分を主張しようとするときは、必ず寄与分の審判申立てが必要となります。
その場合、家庭裁判所は、審理の遅延や引き延ばしを防ぐために、寄与分の申立て期間を定め、この期間を経過してされた寄与分の申立ては却下することができますので、注意して下さい。
寄与分の申立てにあたっては、寄与の時期、方法及び程度その他の事情を明らかにして記載する必要があります。
またその裏付けとなる資料(書証)を提出する必要があります。
2014年05月09日 金曜日
寄与分
Q:遺産分割において寄与分ということを聞いたことがありますが、それはどういうことですか。
A:共同相続人の中に、被相続人の財産の維持又は増加について特別の貢献をした人がいる場合に、遺産分割において、その人の貢献の度合い(これを「寄与分」といいます。)に応じてその人の相続分を増やして、具体的な相続分を算定することがあります。
貢献の内容としては、
1.被相続人の事業に関する労務の提供の場合(家業従事型)
2.財産上の給付の場合(金銭等出資)
3.被相続人の療養看護の場合(療養看護型)
その他がありますが、ここで注意するべきことは、寄与分が認められるためには、親族間において通常期待される程度を超えた貢献が必要です。単に、他の相続人と比較して相続人と比較して貢献の度合いが大きいというだけでは寄与分には該当しないということです。
寄与分が認められるためには、次の要件を満たすことが必要とされています。
1.特別の寄与であること
2.被相続人の財産の維持又は増加と因果関係があること
3.寄与行為に対し対価を受けていないこと
4.相続開始時までの寄与であること
大阪・難波の遺産・相続の法律事務所
田中宏幸法律事務所
弁護士 田中宏幸
2014年05月07日 水曜日
特別受益の主張の方法
Q:特別受益の主張はどのような点に注意したらよいですか。
A:遺産分割調停において特別受益を主張する場合は、
⑴ 誰の誰に対する特別受益であるか。
⑵ どのような内容であるか(贈与の時期、贈与額等)など
について、具体的に主張し、合わせてそれを裏付ける資料を提出することが求められます。
特別受益について、何らの資料も提出されない場合には、特別受益の主張は調停の話し合いの席でも取り上げられないことがありますし、その後の審判でも認められない可能性があります。
大阪・難波の遺産・相続の法律事務所
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弁護士 田中宏幸
2014年05月02日 金曜日
特別受益
Q:遺産分割において特別受益ということを聞いたことがありますが、それは何のことですか。
A:共同相続人の中に、被相続人から遺贈を受けたり、多額の生前贈与を受けた相続人がいる場合に、その受けた利益のことを「特別受益」といいます。この場合、利益を受けた相続人は、いわば遺産の前渡しを受けたものとして、遺産分割においては、その特別受益分を相続財産に持ち戻して(これを「特別の持戻し」といいます。)、各相続人の具体的な相続分を算定することがあります。
この特別受益は、法定相続分を修正するもので、共同相続人間の実質的平等を図ることを目的としています。このため、共同相続人が同程度の利益を受けている場合には、このような扱いをしないことが多いです。
ここで注意することは、贈与の場合、持ち戻しの対象となるのは、相続人に対する贈与のみです。相続人の親族(配偶者や子)に対して贈与があったことによって、その相続人が間接的に利益を得たとしても、原則として特別受益には該当しないのです。
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