遺産分割は相続人のうちの誰かが公平を害する言動を行うときにトラブルに発展し、法律相談に来られることが多くなっています。 兄弟姉妹の仲が険悪になり、財産関係に止まらない面に発展してしまい、事態は深刻です。 遺産分割については、次のような手順をとって解決していきます。
亡くなった方(被相続人)の生まれたときからの戸籍謄本などを取り寄せて、相続人を確定していきます。たまに思わぬ相続人(認知した子、養子など)が判明することがあります。
被相続人の財産(例えば不動産、預貯金、株など)の調査をします。
遺言書があると、原則としてその内容に従うことになりますので、遺言書の有無の確認は重要です。
他の相続人に対し、弁護士が代理人として受任した旨の通知書を送ります。そして、遺産分割の協議を進めていきます。もちろん、弁護士が代理人として協議に当たります。他の相続人の中で、遺産を隠したり、協議に応じないとか、協議が平行線の状態のときは、家庭裁判所に調停申立を行います。遺産分割の協議が整えば、遺産分割協議書を作成して完了です。
上記のように、相続人との協議ができなくなるときは、家庭裁判所に調停申立を行っています。第1回目の調停期日は、申立てから1か月以上先の日になることが多いです。
調停には、弁護士と共に出席します。控室では調停の進行状況に合わせて、弁護士が様々なアドバイスを差し上げます。調停では遺産を確定させること、特に不動産の評価をどのように定めるかが争点になることが多いです。また、寄与分、特別受益の有無についても争点になることがあります。(なお、他の相続人やその配偶者に対する恨み、辛みは遺産分割とは別の次元ですので、調停ではほとんど取り合ってもらえないと思ってください。)
遺産分割について合意が成立すると、家庭裁判所が調停調書を作成してくれますので、その調停調書に基づいて、不動産の名義変更や預貯金の解約などを行うことになります。これらの手続が済めば、一件落着です。
調停での話し合いがどうしてもつかないときは、やむなく、審判に移行します。審判では、家庭裁判所が相続人の主張・立証を参考にして、遺産分割について決定が下されます。遺産の中に不動産があるときは、鑑定手続に入ることが多く、相当な金額の鑑定費用が必要になります。この決定について不服があるときは、抗告申立により、さらに高等裁判所に審理の場が移ります。
このようにみると、遺産分割はできれば示談交渉の段階で、それができなくても調停の段階で成立に持ち込むのが賢明です。
私は、これまで40件程度の遺産分割の事件を担当して参りましたが、審判に移行したのは2件だけで、他は、示談あるいは調停で成立しています。調停の段階までの成立を目指しています。
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