弁護士田中宏幸のコラム
2013年11月08日 金曜日
相続人の範囲
Q 法律上相続人とは、どの範囲までをいうのですか?
A 相続人の範囲については、次のように定められています。
① 配偶者
常に相続人になります。
但し、婚姻届を出している夫もしくは妻に限られ、内縁の夫、妻は含まれませんので注意して下さい。
② 子
常に相続人になります。
養子であっても、相続人となります。
子が親の相続以前に死亡したような場合は、孫が子に代わって相続人になります(代襲相続)。
③ 直系尊属(父母、祖父母)
子など(直系卑属)がいない場合に、相続人になります。
養子縁組した養親も相続人となります。
④ 兄弟姉妹
直系卑属も、直系尊属もいない場合に相続人になります。
兄弟姉妹が被相続人の死亡以前に死亡した場合は、兄弟姉妹の子が相続人になります(代襲相続)。
以上まとめますと、配偶者、子は必ず相続人となり、直系尊属は被相続人に直系卑属がいない場合にのみ相続人となります。
兄弟姉妹が相続人になるケースは、直系卑属、直系尊属がいないときです。
2013年11月05日 火曜日
遺産分割の方法
Q 遺産分割の方法にはどういうものがありますか。
A 現物分割、代償分割、換価分割の方法があります。
現物分割とは、遺産をあるがままの姿で分割する方法です。
たとえば、「甲にはA土地を、乙にはB土地を、丙にはC土地を取得させる。」という具合です。
現物分割だけでは相続分に完全に一致する分割は殆ど不可能です。
場合によっては代償分割を加味します。
代償分割とは、相続人の一部の者に遺産を現物で取得させ、その代わりに相続分に満たない遺産しか取得しない相続人に対する債務を負担させる分割方法です。
換価分割とは、遺産を処分してその対価を相続人で分配する方法です。
これらを組み合わせて、遺産分割をすることが多いです。
2013年10月30日 水曜日
相続財産の評価
Q 相続財産の評価に注意することがあれば教えてください。
A 相続に際して、財産を評価するときには、時価を原則とします。
具体的には相続税法に定められた評価方法によって各財産を評価しなければなりません。
よく土地の価額のときに路線価という言葉が出てきますが、これも相続税法に定められた土地の1㎡当たりの価額をいいます。
毎年、夏にその年度の価額が発表されますので、一度、ご自分の所有土地がいくらしているか調べられればよいでしょう。
路線価表は、各税務署に行けば閲覧できます。
また、国税庁のホームページでも見られるようになっています。
2013年10月21日 月曜日
相続税・基礎控除
Q 父が死亡しましたが、相続税がかかるかどうかよくわかりません。
おおよその目安があれば教えて下さい。
A 次のようなステップを踏んで相続税がかかるかどうか検討して下さい。
① 遺産のなかには仏壇・お墓など相続税のかからない財産とそれ以外の財産(課税財産)があります。
② 課税財産から債務(借入金・税金等)、葬式費用を控除します。
③ それらの金額が基礎控除額を上まわれば相続税が生じます。
④ 基礎控除とは現在[5,000万円+1,000万円×法定相続人の数]となっています。
したがって残された方が妻、子供2人であれば8,000万円(5,000万円+1,000万円×3人)が基礎控除ですから、②の金額が8,000万円を超えていれば相続税が生じます。
また、配偶者が、相続した財産については、相続税法上の軽減措置があります。
なお、平成27年1月1日以降の相続開始(死亡)については、基礎控除が上記④の6割に引き下げられる改正案が今国会で成立したときは、相続税の負担のケースが増える見込みです。
2013年10月17日 木曜日
相続放棄
Q 父の死後わかったのですが、父にはわずかばかりの預金の他にサラ金などからの借金が多額にありました。
残された遺族は父の借金を支払わなければならないのでしょうか。
A 相続が開始したときには、プラスの財産だけを相続して、マイナスの財産である債務を相続しないというわけにはいきません。
原則として、プラスの財産もマイナスの財産もすべて相続することになります。
ご質問のように、借金の方が多い場合は、相続人は自分の責任のない債務を負うことになり不当な結果になります。
このような場合は、相続を放棄することができます。
相続の放棄は原則としてお父さんの死去したことを知ったときから3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する方法で行います。
相続の放棄をすると、お父さんの相続に関しては、初めから相続人でなかったものとして扱われますので、お父さんのプラスの財産だけでなくマイナスの財産である借金も相続しなくなります。
なお、プラスの財産とマイナスの財産とを差し引きしてどちらが多いか不明のときは、限定承認という制度があります。
これはプラスの財産の範囲内で債務を負うという制度です。
しかし、手続が複雑ですので、この制度が利用されているのはわずかです。