弁護士田中宏幸のコラム
2013年10月17日 木曜日
相続放棄
Q 父の死後わかったのですが、父にはわずかばかりの預金の他にサラ金などからの借金が多額にありました。
残された遺族は父の借金を支払わなければならないのでしょうか。
A 相続が開始したときには、プラスの財産だけを相続して、マイナスの財産である債務を相続しないというわけにはいきません。
原則として、プラスの財産もマイナスの財産もすべて相続することになります。
ご質問のように、借金の方が多い場合は、相続人は自分の責任のない債務を負うことになり不当な結果になります。
このような場合は、相続を放棄することができます。
相続の放棄は原則としてお父さんの死去したことを知ったときから3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する方法で行います。
相続の放棄をすると、お父さんの相続に関しては、初めから相続人でなかったものとして扱われますので、お父さんのプラスの財産だけでなくマイナスの財産である借金も相続しなくなります。
なお、プラスの財産とマイナスの財産とを差し引きしてどちらが多いか不明のときは、限定承認という制度があります。
これはプラスの財産の範囲内で債務を負うという制度です。
しかし、手続が複雑ですので、この制度が利用されているのはわずかです。