弁護士田中宏幸のコラム
2013年11月25日 月曜日
特別受益者
Q 父が亡くなりましたが、母が先に死亡していましたので、兄と私の2人が相続することになりました。
兄は父の生前、商売の資本金を出してもらい、今の価格に換算すると1,000万円になります。
相続時の父の遺産は4,000万円です。
公平な分配方法はどうしたらよいでしょうか。
A この場合のお兄さんのように、お父さんから生前の贈与を受けた者や遺贈を受けた者を「特別受益者」といいます。
このようなときは、遺産4,000万円に生前の贈与の1,000万円を加えた計5,000万円を遺産と考えて(みなし相続財産)、相続分を算出します。
そうすると、あなたとお兄さんの相続分はいずれも(4,000万+1,000万)×1/2=2,500万円と一応なります。
お兄さんの相続分は、この額からすでに贈与を受けている1,000万円を控除した1,500万円となります。
あなたの相続分は2,500万円です。
ただし、生前贈与であっても、被相続人が特別受益としない意思表示(持ち戻し免除の意思表示)のもとに贈与している場合は、例外的に上のような扱いはしません。
これは被相続人の意思を尊重するためです。