弁護士田中宏幸のコラム
2014年04月11日 金曜日
相続分の譲渡人の調停手続参加の要否
Q 遺産分割の調停申立て前に、他の相続人に対して、相続分を譲渡した相続人は、調停手続の当事者として参加しなくても良いですか?
A 遺産分割の調停申立て前に、共同相続人のうちの1人(譲渡人)が、他の共同相続人(譲受人)に対し、相続分の譲渡をしている場合、譲渡人が共同相続人として有する一切の権利義務は包括的に譲受人に移転されます。従って、相続分の譲渡によって、譲渡人は遺産分割手続の当事者適格を喪失します。
そこで、調停申立時に、譲渡人が譲受人に相続分を譲渡したことを証する文書の原本(譲渡証書等)を提出していただければ、譲渡人は、当事者として手続に参加する必要はありません。
ただし、利害関係人として手続に参加していただく場合があります。
2014年04月07日 月曜日
相続分の譲渡・相続分の放棄
Q 私は遺産がいらないので、遺産分割の調停手続から抜けたいのですが、どうすれば良いですか?
A 自分の取得分(相続分)を他の相続人に譲る(相続分の譲渡)か、自分の相続分を放棄すること(相続分の放棄)によって、調停手続から抜ける(脱退する)ことができます。
ただし、場合によっては、脱退が認められない場合や脱退後でも利害関係人として参加を求められる場合があります。
2014年04月01日 火曜日
遺産分割調停と相続人間の感情的対立
Q 遺産分割の協議が相続人間の感情的な対立で決裂してしまいました。
そこで、調停申立てを行おうと思いますが、調停を円滑に進めるためにはどのようなことを心掛ければ良いでしょうか?
A 調停を円滑に進めるためには、お互いの譲り合いが必要不可欠といわれています。
遺産分割は、基本的には現存する遺産を相続人間で具体的に分けることが目的です。
家庭裁判所では、相続人同士の感情的な対立があれば、それをある程度調整してくれますが、それは遺産分割の調停を円滑に進めるための補助的なもので、調停の主眼は、あくまでも、「今ある遺産をどのように分けるか」という点にありますので、その方向で調停が進められていきます。
この点を理解されていた方がよいと思います。